レベル4(特定自動運行)の許可が出ている場所|結論

この記事の結論

国土交通省の2026年6月8日の資料では、レベル4のバス等はこれまでに全国11箇所で実装され、特定自動運行の許可は12件です。
ただし許可は都道府県の公安委員会が出して公示するもので、2026年10月18日に各地の警察の公示を確かめると、福井県永平寺町・長野県塩尻市・千葉県柏市は許可の公示が掲載されている一方、愛媛県松山市(2026年1月21日)、東京都大田区の羽田イノベーションシティ(2月4日)、北海道上士幌町(4月23日)、宮城県のJR気仙沼線BRT(7月24日)は、いずれも「特定自動運行を行わないこととしたため」許可証が返納され、失効と公示されていました。茨城県・大阪府・三重県の公示は本記事では確認できていません。運行しているのは自治体の公社、まちづくり会社、路線バス会社などで、車内に特定自動運行主任者が乗る形が多く、柏市の公示には「大型二種免許を保有する特定自動運行主任者」が乗車すると書かれています。

「レベル4の自動運転はどこで走っているか」を調べると、国の資料に載った地域の一覧が出てきます。けれども許可は運行ごとに出て、運行をやめれば返納されます。いま許可が有効かどうかは、許可を出した公安委員会の公示で確かめるのが確実です。

この記事では、道路交通法と同法施行規則、国土交通省の資料、各都道府県警察が掲載している公示、運行事業者や行政機関の発表という一次情報で、許可の状況と、そこでどんな人が働いているかを整理します(2026年10月18日時点)。

許可と公示の仕組み|どこを見れば分かるか

運転者のいないレベル4の運行(特定自動運行)をするには、運行する場所を管轄する公安委員会の許可が必要です(道路交通法第75条の12)。許可の流れと、公表される情報は次のとおりです。

段階決まり根拠
申請使う車、経路、日と時間帯、運ぶ人や物などを書いた「特定自動運行計画」を出す道路交通法第75条の12
審査車と使用条件は国土交通大臣等、地域住民の利便性・福祉への貢献は経路のある市町村長の意見を聴く同法第75条の13
公示許可をした旨、実施者の名称と代表者、経路、日と時間帯、前提となる気象・道路の状況、許可の年月日などをインターネットなどで公示する同法第75条の17、施行規則第9条の26
返納・失効特定自動運行を行わないこととしたときは許可証を返納し、返納があると許可は効力を失う施行規則第9条の38

各都道府県警察のウェブサイトには「特定自動運行の許可等の公示」の欄があり、許可・取消・失効が載ります。神奈川県警察は、許可が取り消されるか許可証の返納があって特定自動運行が行われなくなるまで公示する、と説明しています。

国の数|これまでに11箇所・許可12件

国土交通省が第3回 国土交通省自動運転社会実現本部(2026年6月8日)に出した参考資料は、「これまでの補助事業等により、運転者を要しない『レベル4自動運転』のバス等が11箇所で実装」と書き、道路交通法の特定自動運行の許可件数は、長野県塩尻市で2回目の許可を出しているため12件の実績があると注記しています。資料に並ぶ11地域は、北海道上士幌町、福井県永平寺町、長野県塩尻市、宮城県気仙沼市、大阪府大阪市(万博)、茨城県日立市、愛媛県松山市、三重県多気町、東京都大田区、千葉県柏市、茨城県常陸太田市です。

次の章で見るとおり、このうち松山市・大田区・上士幌町の許可は資料の日付より前に失効の公示が出ています。11箇所は「これまで」の実績の数で、同じ時点で運行中の数を示すものではない、と読むのが合っています。

道路の外|空港の制限区域内のレベル4

同じ参考資料は、空港の制限区域内でも「2025年12月に自動運転レベル4の実用化が開始(東京国際空港、成田国際空港)」と書いています。空港業務の生産性向上の一つとして位置づけられ、両空港での導入台数の増加や、ほかの国内空港への展開を検討するとしています。これは道路でお客様を運ぶバスやタクシーとは別の枠組みで、11箇所には含まれていません。

公安委員会の公示で確かめた状況(2026年10月18日)

国の資料の11地域について、各都道府県警察のウェブサイトに掲載された公示を確かめた結果です。「確認できず」は、ページが開けなかったか公示の記載を見つけられなかったことを示し、許可がないという意味ではありません。

地域公示の状況実施者(公示どおり)経路・運行(公示どおり)
福井県永平寺町許可の公示あり(第1号、2023年5月11日)。失効の公示なしまちづくり株式会社ZENコネクト「永平寺参ろーど」の荒谷から志比間約2km。土日祝日の日中(午前10時始発・午後3時最終で毎時3往復)、平日も需要に応じて不定期。冬季は基本運休
長野県塩尻市許可の公示あり(第2号、2026年3月6日)。失効の公示なし一般財団法人塩尻市振興公社塩尻駅前停留所から市役所停留所までの往復約1.2km。午前9時から午後5時までの定期運行(1日10便)など
千葉県柏市許可の公示あり(第1号、2025年11月12日)東武バスセントラル株式会社柏市道「一号近隣公園」停留所から「三井ガーデンホテル柏の葉パークサイド前(税関研修所)」停留所までの約700m。平日の午前11時30分から午後3時30分(片道各4便程度)の定期運行
愛媛県松山市失効(2026年1月21日)。返納理由「特定自動運行を行わないこととしたため」伊予鉄バス株式会社伊予鉄道高浜線高浜駅と松山観光港の間(往復約1.6km)
東京都大田区失効(2026年2月4日)。返納理由は同上BOLDLY株式会社羽田イノベーションシティ構内の循環経路約800m
北海道上士幌町失効(2026年4月23日、公示は5月29日)。返納理由は同上BOLDLY株式会社交通ターミナルから認定こども園までの片道区間(町道約630m。2024年10月24日の変更許可の内容)
宮城県(国の資料の表記は気仙沼市)失効(2026年7月24日)。返納理由は同上東日本旅客鉄道株式会社JR気仙沼線BRT専用道の柳津駅と水尻川アプローチの間約15.5km
茨城県日立市・常陸太田市確認できず(茨城県警察の該当ページを開けなかった)日立市は茨城交通(同社発表)。常陸太田市は株式会社マクニカ(関東運輸局の発表では運行主体)日立市はひたちBRTの専用道区間約6.1km(2024年12月18日許可、2025年2月3日営業運行開始=同社発表)。常陸太田市は約200m(2026年3月25日にレベル4の車両認可=関東運輸局)
大阪府大阪市(万博)、三重県多気町確認できず--

公示に書かれた「日及び時間帯」は許可を受けた計画の内容で、実際の便数や運休は運行事業者の案内で確かめてください。

許可の返納をどう読むか

失効と公示された4件は、いずれも返納理由が「特定自動運行を行わないこととしたため」でした。公示から分かるのは、その計画での運転者のいない運行をやめた、ということまでです。運行そのものが終わったのか、運転手が乗る形に切り替えたのか、別の計画で許可を取り直す予定なのかは公示には書かれておらず、本記事では確認していません。

レベル4の運行には、実証の期間を決めて行うものや、イベントに合わせたものもあります。国土交通省の手引き第3版(2026年9月)でも、長野県塩尻市の例は2025年1月23日〜2月7日の運行として紹介されており、その後2026年3月6日に2回目の許可が出ています。求人を探す人にとっては、「国の一覧に載っている地域」ではなく「いま許可が有効な運行」と「これから許可を取る計画」の両方を見ることが大切です。

そこで働く人|運行の主体と、車に乗る人の役割

レベル4の運行で働く人は、道路交通法の特定自動運行主任者・現場措置業務実施者と、お客様を運ぶ事業では運輸規則の特定自動運行保安員です。公示と国土交通省の手引き第3版に書かれた体制を並べます。

地域運行する組織人の体制(公示・手引きの記載)
福井県永平寺町まちづくり会社(ZENコネクト)車内無人。特定自動運行主任者(保安員と兼務)と現場措置業務実施者の2名体制。1人の遠隔監視者が3台を運行可能な装置の認可を日本で初めて取得
長野県塩尻市自治体の公社(塩尻市振興公社)主任者が車に乗り、特定自動運行が終わった場合は手動運転で速やかに車を移動させる(公示)
千葉県柏市路線バス会社(東武バスセントラル)特定自動運行が終わった場合は、車内に乗る「大型二種免許を保有する特定自動運行主任者」が直ちに手動運転で移動させる(公示)。主任者は保安員を兼務(手引き)
茨城県日立市路線バス会社(茨城交通)主任者(保安員を兼務)1名体制。保安員を選任し、必要な訓練を実施したうえで配置(2025年1月17日実施、手引き)。手動走行区間は運転手が運転
北海道上士幌町(失効前の計画)技術会社(BOLDLY)車内無人。運行が終わった場合は、管理する場所の主任者が自転車で駆けつけ、手動運転などの措置をとる計画だった(2024年10月24日の告示)

柏市と塩尻市の公示からは、運転者のいないレベル4でも、運行が止まったときに車を手で動かす人が車内にいる形が分かります。柏市では、その人は大型二種免許を持つと公示に書かれています。国土交通省の手引き第3版は「特定自動(レベル4)運行中は二種免許は不要」としつつ、運行形態によっては二種免許を持つ人が乗ることもあると注意しており(109ページ)、柏市はその例にあたります。

それぞれの役割の中身は遠隔監視オペレーターの仕事と特定自動運行保安員とはで解説しています。

レベル4の現場で働きたい人の調べ方

  1. 公示で実施者を確かめる:住んでいる都道府県の警察のウェブサイトで「特定自動運行の許可等の公示」を見て、許可を受けている会社と経路を確かめます。
  2. 実施者の採用ページを見る:主任者や保安員は国家資格ではなく、運行する会社が教育して指定・選任します。入口はその会社(またはその業務を受託する会社)に入ることです。
  3. 免許の条件を確かめる:手動運転の区間がある路線や、運行終了時に車を動かす計画では、車に応じた運転免許(柏市の例では大型二種)が求められます。
  4. これからの計画も見る:国土交通省の手引き第3版は、自動運転移動サービスを2025年度目途に50か所程度、2027年度までに100か所以上で実現することを政府目標として紹介しています。新しい地域の許可は、公示に順次載ります。

自動運転の現場の仕事の全体像は自動運転の現場の仕事の種類、保安員の職名の求人は、このサイトにはまだありません(2026年10月時点)。車に乗って見守る近い仕事はセーフティドライバーの求人、全体は自動運転の仕事の求人一覧から探せます。

出典・一次情報

本記事の記述は、次の法令・公表資料・公示・発表に基づいています(いずれも2026年10月18日閲覧)。

  • 道路交通法 第75条の12・第75条の13・第75条の17(e-Gov法令検索) laws.e-gov.go.jp/道路交通法施行規則 第9条の26・第9条の38 laws.e-gov.go.jp
  • 国土交通省「自動運転の普及に伴う社会変容への対応について」参考資料(令和8年6月8日) mlit.go.jp(PDF)
  • 国土交通省「自動運転移動サービス社会実装・事業化の手引き」第3版(2026年9月) mlit.go.jp(PDF)
  • 福井県警察「特定自動運行の許可申請手続き」(許可の公示 第1号) pref.fukui.lg.jp
  • 長野県警察「特定自動運行許可申請手続」(許可の公示、2026年3月6日) pref.nagano.lg.jp
  • 千葉県警察「特定自動運行の許可手続について」(特定自動運行公示第1号) police.pref.chiba.jp
  • 愛媛県警察「特定自動運行の許可に係る公示」(許可第1号 失効) police.pref.ehime.jp
  • 警視庁「特定自動運行許可申請手続」(失効の公示、2026年2月4日) keishicho.metro.tokyo.lg.jp
  • 北海道警察「特定自動運行許可申請手続」(失効の公示) police.pref.hokkaido.lg.jp/北海道釧路方面公安委員会告示第65号(2024年10月24日) 同(PDF)/同告示第36号(2026年5月29日) 同(PDF)
  • 宮城県警察「特定自動運行許可の失効」(宮城県公安委員会 第1号) police.pref.miyagi.jp(PDF)
  • 神奈川県警察「特定自動運行の許可」に関する案内 police.pref.kanagawa.jp
  • 茨城交通「国内最長距離&国内初の中型バスでのレベル4自動運転の営業運行」(2025年1月24日) ibako.co.jp
  • 国土交通省関東運輸局「自動運転車(レベル4)の認可を行いました」(2026年3月25日) wwwtb.mlit.go.jp(PDF)
  • 経済産業省「一般道における中型バスでのレベル4自動運転による運行を開始します」(2026年1月13日) meti.go.jp

公示の確認範囲について

公示は国の資料の11地域を管轄する都道府県警察について確かめたもので、それ以外の都道府県の新しい許可は調べていません。公示は随時更新されるため、最新の状況は各都道府県警察のウェブサイトで確認してください。