ロボタクシーで働くには|結論
この記事の結論
日本のロボタクシーは、法令上タクシー会社が運行主体になるため、車に乗る仕事の多くはタクシー会社の乗務員が担っています。
東京の2つの陣営は、どちらもタクシー会社の乗務員が車に乗る形です。GO・Waymo側は日本交通の乗務員が自動走行の試験に乗っており、Uber・Wayve・日産側は2026年後半に予定する試験運行の初期に、日の丸交通の乗務員をセーフティドライバーとして乗せる計画です。日の丸交通は運転だけでなく、車両基地の運営、メンテナンス、点検、清掃、充電も受け持ちます。大阪のnewmoは、自動運転の学習用データを集める運転をライドシェアの運転手に任せており、その募集には80名を超える応募があったと発表しています。一方、2026年10月18日に確認した日本交通・日の丸交通の乗務員採用ページに自動運転の担当を募集する記載はなく、公式求人として出ているのは、Wayveの公道試験の安全オペレーターや整備、newmoの実車運用、Waymoの管理職・専門職などです。
ロボタクシー(自動運転タクシー)が広がると、運転手の仕事はなくなるのか、という話題がよく取り上げられます。このサイトでは視点を変えて、「ロボタクシーの現場で働くには、どの会社に入り、どんな役割を担うことになるのか」を、各社の公式発表と公式求人、法令から整理します(2026年10月18日時点)。
各陣営の計画の時期は、どれも各社が「目指す」とした目標です。2026年10月18日時点で、東京・大阪で運転者のいないロボタクシーの営業運行が始まったという公式発表は確認できませんでした。
ロボタクシーはだれが運行するのか|タクシー会社が運行主体
Uberは2026年8月13日の発表で、「日本の法令において、ロボタクシーの運行は旅客運送サービスの認可を受けたタクシー事業者が行う必要があります」と説明し、Uberはマッチングのプラットフォームと運行支援のツールを提供し、日の丸交通が認可を受けた運行主体として実際の運行管理を担当するとしています。
運行主体がタクシー会社であるため、運転者のいない段階になっても、タクシー会社には旅客自動車運送事業運輸規則の決まりがかかります。運転者のいないレベル4の車でお客様を運ぶときは、特定自動運行保安員を選任して車に乗務させるか営業所などから遠隔で業務をさせ、点呼を行い、運行管理者が管理します。タクシー(一般乗用)では、保安員が休憩や回送のときに回送板を掲げることまで決められています(運輸規則第15条の2第10項)。運転の操作がシステムに代わっても、タクシー会社の中に人の仕事が残る仕組みです。詳しくは特定自動運行保安員とはで解説しています。
陣営ごとに見る「車に乗る人」と「その人が働く会社」
各社の公式発表から、働く人の目線で並べます。並び順は順位ではありません。
| 陣営・地域 | 車に乗る人(公表どおり) | その会社が担う仕事(公表どおり) | 時期(各社の表現) |
|---|---|---|---|
| GO・Waymo・日本交通(東京) | 日本交通の乗務員。2025年4月から手動運転で走行、2026年9月時点は同乗した自動走行試験 | 日本交通はWaymo車両の運転と維持管理、支えるインフラを提供(2025年4月)。商用化後は「現場における運行管理や営業所運営」 | 2027年中に完全無人の商用運行を目指し、段階的に100台規模。正式な開始時期は許認可の取得後に決定 |
| Uber・Wayve・日産・日の丸交通(東京) | 初期段階は日の丸交通の乗務員が「セーフティドライバー」として同乗 | 日の丸交通は運行主体として、運行管理、車両基地(デポ)でのオペレーション、メンテナンス、点検、清掃、充電、稼働状況の管理 | 2026年後半に試験運行を予定 |
| 日産ほか(横浜の実証) | セーフティドライバーが同乗(レベル2相当) | 国際自動車は交通事業者の視点での運行・運用体制づくりの支援、プレミア・エイドは監視システムを使った乗客サポート業務 | 2026年10月1日〜12月18日、10台・乗降地28か所。2027年以降のサービス提供開始を目指す |
| newmo(大阪市・堺市) | ライドシェアドライバーがデータ収集の走行(2026年5月からシフト制) | 堺市のコンソーシアムでは未来都と堺相互タクシーが「タクシー事業(運行主体)」、KDDIスマートモビリティが「自動運転タクシーの走行・運行・遠隔監視の支援」 | 2028年の商用運行開始を目指す |
| 電脳交通ほか(徳島) | (発表に記載なし) | 配車業務のコミュニケーションセンター内の「自動運転 遠隔監視センター」で、車両監視、遠隔からの停止などの車両制御、シートベルトの案内などのユーザーサポート | 2026年1月8日にセンター新設を発表。徳島県・NEC・電脳交通の実証運行に参画予定 |
東京の2陣営では、車に乗るのはどちらもタクシー会社の乗務員です。同乗する人の免許の種類や、乗務員の中から誰をどう選ぶかは、各社の発表に書かれていません。
運転以外に生まれる仕事|車両基地・遠隔・乗客対応
公式発表を並べると、ロボタクシーの現場には運転以外の仕事がまとまって出てきます。
- 車両基地(デポ)の仕事:日の丸交通が担う内容として、メンテナンス、点検、清掃、充電、稼働状況の管理が挙げられています(Uber)。
- 運行管理と営業所運営:日本交通は商用化後に「現場における運行管理や営業所運営」を担うとしています。
- 遠隔の監視と乗客対応:横浜の実証ではプレミア・エイドが監視システムを使った乗客サポート業務を担います。徳島の電脳交通は、遠隔からの車両停止やシートベルトの着脱案内などを遠隔監視センターの役割に挙げ、「完全自動化を前提としない、現実的かつ段階的な自動運転タクシーの運用」を支えるとしています。
- 止まった車の回収:Waymoは東京で、路上での車両回収(牽引・ロードサービス)の体制づくりと、警察・消防などとの連携手順の標準化を担う職種を募集しています。
- データ収集の運転:newmoは2026年6月15日の発表で、データ収集ドライバーの募集に80名を超える応募が集まり必要数はすぐに埋まったこと、今後の増車に合わせて数十名規模へ広げる予定であることを明らかにしています。
自動運転の現場の仕事の分類は自動運転の現場の仕事の種類で整理しています。
いま公式に出ている求人
2026年10月18日に、ロボタクシーの各陣営に関わる会社の公式採用ページで確認できた、現場に近い求人です。
| 会社 | 職種(勤務地) | 主な条件・中身(公表どおり) | 給与 |
|---|---|---|---|
| Wayve | Vehicle Safety Operator(東京・横浜) | 公道試験での監視と介入、エンジニアへのフィードバック。日本の運転免許5年以上、過去3年間に有責の保険請求なし。週末勤務あり | 公表なし |
| Wayve | Fleet Serving & Maintenance Technician(東京) | 自動運転車両群の定期整備と故障診断・修理。二級自動車整備士などの資格。24時間の運用に合わせた交代制 | 公表なし |
| newmo | Field Integration Engineer(大阪市城東区) | 開発車両の運用、セーフティドライバーとの打ち合わせ・報告の一次確認、車載機器の確認。普通自動車運転免許 | 年収500万〜700万円 |
| newmo | 実車運用アシスタント(インターン、同) | 車両準備や記録、セーフティドライバー対応の補助。平日週3日以上 | 選考を通じて決定 |
| Waymo | Japan Vehicle Recovery, Safety, & Logistics(東京) | 車両回収の体制づくり、外部の回収業者の管理。大規模な商用車フリート運用などの経験7年以上 | 公表なし |
| Waymo | Escalation Manager, Event Response Team(東京) | 安全・運用上の重大な問題での一次の事故対応リーダー、リアルタイムの判断 | 公表なし |
WayveのVehicle Safety Operatorは、Wayve自身の開発試験の仕事で、Uberの試験運行で同乗する日の丸交通の乗務員とは別の募集です。日本交通と日の丸交通の乗務員採用ページ(同日確認)には、自動運転やロボタクシーの担当を募集するという記載はありませんでした。日本交通の発表からは乗務員がロボタクシーの試験に関わっていること、Uberの発表からは日の丸交通の乗務員が試験運行に同乗する計画であることがわかります。
段階ごとの立場と免許
ロボタクシーで働く人の法律上の立場は、運行の段階で変わります。
| 段階 | 車に乗る人の立場 | 免許の考え方(公表資料) |
|---|---|---|
| 手動運転でのデータ収集・試験 | 運転者 | 車に応じた運転免許 |
| セーフティドライバーが同乗する試験(レベル2相当など) | 運転者(警察庁の公道実証実験ガイドライン) | 車に応じた運転免許。お客様を乗せて運ぶ運行では、道路交通法第86条により二種免許が関わる |
| 運転者のいないレベル4の営業運行 | 運転者はいない。特定自動運行主任者・保安員が乗るか、遠隔で業務をする | 国土交通省の手引き第3版は、レベル4で走っている間は二種免許は不要としつつ、運行形態によっては二種免許を持つ人が乗ることもあると注意 |
車内で見守る役の決まりはセーフティドライバー(保安運転手)とは、遠隔の仕事は遠隔監視オペレーターの仕事で解説しています。
ロボタクシーの現場で働きたい人が確かめること
- どの陣営のどの会社か:東京ではタクシー会社が運行主体です。乗務員として入るのか、開発会社の試験の仕事に入るのかで、雇い主も仕事も変わります。
- 自動運転の業務に就く道があるか:採用ページには記載がないため、乗務員として応募する場合は、自動運転の試験や車両基地の仕事に関わる機会があるかを面接で確かめます。
- 運転以外の仕事:車両基地の点検・清掃・充電、運行管理、遠隔の乗客対応など、運転しない役割も公表されています。
- 時期は目標であること:各社の時期は「目指す」「予定」の段階です。許認可の取得や開始の発表を確かめてください。
未経験からの入口は未経験から自動運転の仕事に就くには、求人はセーフティドライバーの求人と自動運転の仕事の求人一覧から探せます。
出典・一次情報
本記事の記述は、次の公式発表・公式採用ページ・法令・公表資料に基づいています(いずれも2026年10月18日閲覧)。
- GO・Waymo・日本交通「2025年より東京における自動運転技術のテストに向けて協業」(2024年12月17日) 日本交通 ニュースリリース/「今週より東京都心7区でWaymo車両の走行を開始」(2025年4月14日) 同/「自動運転タクシー商用化の実現に向けて合意」(2026年9月15日) 同
- Uber「ロボタクシー試験運行の運行パートナーとして、日の丸交通と合意」(2026年8月13日) Uber ニュースルーム
- 日産自動車「2026年度の横浜市における自動運転モビリティサービス実証実験」(2026年9月14日) 日産ニュースルーム
- newmo「大阪初の自動運転拠点『JOTO Base(城東ベース)』を開設」(2026年6月15日) PR TIMES(同社発表)/「堺市自動運転タクシー実装コンソーシアム」設立(2026年8月5日) 同
- 電脳交通「未来の地域交通を担う『自動運転 遠隔監視センター』を新設」(2026年1月8日) PR TIMES(同社発表)
- Wayve「Vehicle Safety Operator」 Wayve 採用ページ/「Fleet Serving & Maintenance Technician」 同(いずれも2026年10月5日掲載)
- newmo「Field Integration Engineer(実車運用 / 大阪)」 newmo 採用ページ/「Field Integration Engineer(インターン・実車運用アシスタント / 大阪)」 同
- Waymo「Japan Vehicle Recovery, Safety, & Logistics」 Waymo 採用ページ/「Escalation Manager, Event Response Team」 同(いずれも2026年10月2日更新)
- 日本交通 タクシー乗務員採用サイト nihon-kotsu-recruit.jp/日の丸交通 採用情報 hinomaru.tokyo
- 旅客自動車運送事業運輸規則 第15条の2(e-Gov法令検索) laws.e-gov.go.jp
- 警察庁「自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン」(平成28年5月) npa.go.jp(PDF)/国土交通省「自動運転移動サービス社会実装・事業化の手引き」第3版(2026年9月) mlit.go.jp(PDF)
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