テストドライバーはきつい?|結論

この記事の結論

公式の募集要項を見る限り、テストドライバーの負担になりやすいのは早朝・夜間のシフト、週末勤務、選考と入社後の検査の厳しさです。
Turingの自動運転開発ドライバーは朝番5時〜14時か遅番14時〜23時のシフト制(実働8時間)で、Wayveの公道試験の職種は6時30分〜15時30分か14時30分〜23時30分、週末勤務ができることが条件です。T2の大型トラックのオペレーションドライバーには深夜勤務・休日出勤があり、月収には50時間分の固定残業手当が含まれます。選考では、Wayveが運転記録と累積点数の証明書を確認したうえで教習所で2時間の運転試験を行い、採用後も薬物・アルコール検査が続くと書いています。一方で、Turingのフルタイムは土日祝日が休みで、週3日から働けるパートタイムの募集もあります。

「テストドライバー きつい」と調べると、体験談や口コミがたくさん出てきます。ただ、働く会社や車の種類によって条件は大きく違い、人の感想をそのまま当てはめることはできません。

この記事では口コミは使わず、会社が自分で公開している募集要項と、トヨタ自動車のオウンドメディア、警察庁のガイドラインに書かれていることだけから「どこが負担になりうるか」を確かめます(2026年10月18日時点)。どの会社が良い・悪いという順位づけはしていません。仕事の全体像はテストドライバーとはで解説しています。

勤務時間とシフト|朝5時から夜23時台までの時間帯

公道を走る試験は、交通量や明るさの条件を変えて行うため、早朝や夜の時間帯が入ることがあります。各社の公式求人に書かれた勤務時間を並べます。

会社・職種勤務時間(公表どおり)週の勤務日・休日補足
Turing 自動運転開発ドライバー(フルタイム)朝番05:00〜14:00か遅番14:00〜23:00をシフトで決定(実働8時間・休憩1時間)平日週5日。土日祝日は休み時期により時間帯が変わる可能性、研修や実験等で10:00〜19:00になることもある
Turing 自動運転開発ドライバー(パートタイム)同じく朝番・遅番のシフト週3日以上。完全週休二日制業務委託の場合は契約に応じて決定
Wayve Vehicle Safety Operator06:30〜15:30または14:30〜23:30週40時間。運用は週7日で、週末に働けることが条件シフト表は可能な限り4週間以上前に出す
T2 オペレーションドライバー(大型トラック)1か月単位の変形労働時間制。前月末までに作るシフト表で始業・終業を決める休日はシフト表で定める(月の休日数は土日祝などの合計日数と同じ)深夜勤務・休日出勤あり。休憩60分
T2 大型トラック テストドライバー裁量労働制(みなし労働時間8時間、標準就業時間9時15分〜17時30分)土日祝日・年末年始など所定外労働あり

Turingの朝番は5時始業です。同社は求人の「求める人物像」に「早朝/深夜/天候条件を問わず、シフト制での勤務に対応できる方」と書いています。通勤は公共交通機関のほか自家用車やバイクも認めており、通勤時の高速道路代は精算対象としています。Wayveは求人で、毎回時間どおりに着けるよう通勤の経路をよく考えてほしいと注意しています。

1日にどのくらい運転するのか|公表されている範囲

1日の「運転している時間」を数字で公表している求人は、確認した範囲ではありませんでした。公表されているのは勤務の枠と流れです。

  • Turing:実働8時間のシフト。1日の流れは、出社、走行ルートの確認と当日の注意点の説明、走行(適宜休憩)、走行後の報告、勤務終了。
  • Wayve:週40時間。公道試験中の監視と介入に加え、エンジニアへのフィードバック、データ収集・検証の支援、問題の報告が仕事に含まれる。
  • T2 オペレーションドライバー:自動運転での走行試験、手動運転でのデータ収集に加え、幹線の長距離輸送オペレーションを担当。車両の日常点検・メンテナンスも担い、「一部荷役作業が発生する場合があります」と書かれている。

運転以外の仕事として、どの社も「記録・報告」を挙げています。走りながら気づいたことを走行後に言葉にまとめる時間も、勤務の一部だということです。T2のオペレーションドライバーは長距離の幹線輸送も担うため、乗用車の試験とは運転の長さが違うと考えられます。応募するときは、1回の乗務の時間と休憩の取り方を面接で確かめてください。

選考の運転試験と、入社後も続く検査

テストドライバーの選考で特徴的なのは、運転の記録と実際の運転の両方を見られることです。Wayveの Vehicle Safety Operator の求人(2026年10月5日掲載)は、選考の流れを次のように書いています(英文を編集部で訳しました)。

順番内容時間・場所
1採用担当との面談30分・オンライン
2書類確認(運転免許、運転記録、累積点数の証明書)-
3対面の面接60分・横浜オフィス
4運転試験2時間・横浜の教習所
5採用責任者との最終面接30分・オンライン

同じ求人には、採用は研修の修了、採用前の確認、方針に沿った継続的な薬物・アルコール検査に合格することが条件だと書かれています。応募者は副業を申告する必要があり、健康チェックの対象にもなります。同社の Fleet Operations Trainer の求人は、対面の面接の際に薬物・アルコール検査を行うと明記しています。

Turingは応募書類に、日常の運転頻度、業務での運転経験、年間走行距離、モータースポーツ経験、保有ライセンス、無事故・無違反歴などを書くよう求めています。運転の記録が応募条件そのものになる仕事で、証明書の取り方はテストドライバーに必要な資格・免許・運転歴で説明しています。

天候・季節・出張|走る場所の条件

テストドライバーは、雨や雪、寒さなど、条件の悪い日にこそ走ることがあります。公式資料に書かれている例です。

  • 天候を問わないシフト:Turingは「早朝/深夜/天候条件を問わず」シフト勤務に対応できる人を求めています。
  • 拠点の外への移動:Wayveは横浜か東京の拠点を主な勤務地としつつ、運用の応援でときどき移動があり、できるだけ早く知らせると書いています。
  • 寒冷地の試験場:トヨタイムズの連載(2023年3月)は、北海道の士別試験場を「マイナス30度の世界」と紹介し、延べ人数で夏に1万人、冬に1万人の出張者を受け入れると書いています。同じ連載では、12月から80日間の試験期間のうち、水を使う試験ができるのは20日間あるかないかだという担当者の話も紹介されています。

自動車メーカーの評価ドライバーは、季節ごとの試験のために試験場へ出張することがある、ということが公式の資料から読み取れます。自動運転の開発会社の求人も、天候や時間帯の条件を変えて走ることを前提にしています。

契約の期間と給与の書き方

働き方の安定に関わる条件も確かめておきたい点です。

  • 契約の更新:Turingのフルタイムは契約社員で3か月ごとの更新です(初回の更新時に1年に変わる可能性があると記載)。正社員登用の実績があると書いています。パートタイムは有期パートタイム社員か業務委託で、社会保険は条件を満たす場合のみ加入です。
  • 固定残業代:T2の2職種の月収には、残業の有無にかかわらず支払う50時間分の固定残業手当が含まれます。50時間を超える分や休日・深夜の割増は追加で支給すると書かれています。
  • 想定年収は目安:T2は想定年収について「保証額ではありません」と明記しています。

反対に、負担を軽くできる選択肢も公表されています。Turingのパートタイムの求人は「週3日以上から勤務可能」としており、フルタイムでなく働く道があります。給与の公表額の一覧はテストドライバーとはにまとめています。

責任の重さ|事故や違反は運転席の人の責任

精神的な負担として見落とせないのが、責任の所在です。警察庁の「自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン」(平成28年5月)は、テストドライバーは常に道路交通法などの運転者としての義務を負い、交通事故や違反が起きた場合には運転者としての責任を負うことを認識する必要があるとしています。自動運転のシステムが操作している最中でも、法律の上では運転席の人が運転者です。

自動車メーカーの評価ドライバーについて、トヨタイムズ(2023年3月9日)は、社内の試験車運転資格のうち上級より上の「S1」のドライバーには安全性の判断も委ねられ、開発車両の状態で「危険」と判断すれば走行評価をしないこともあると紹介しています。同じ連載の第7回(2023年12月1日)は「危険を伴う仕事だけに、運転技能のみならず、人間性の鍛錬も重要視される」と書いています。

この責任があるからこそ、各社は選考で運転の記録を細かく見て、入社後も研修と検査を続けているといえます。

面接で確かめたい5つのこと

  1. 1回の乗務の時間と休憩:連続して何時間運転し、どのくらいの間隔で休むか。
  2. シフトの決まり方:朝番と遅番の割合、週末勤務の頻度、シフト表がいつ出るか。
  3. 出張・移動:拠点の外で走ることがあるか、その頻度。
  4. 研修と検査:研修の期間、修了の条件、検査の頻度。
  5. 契約と評価:更新の単位、時給や給与が見直される時期と基準。

応募条件で求められる免許・運転歴はテストドライバーに必要な資格・免許・運転歴、未経験からの入口は未経験から自動運転の仕事に就くにはで整理しています。求人はテストドライバー・開発ドライバーの求人から探せます。

出典・一次情報

本記事の記述は、次の公式採用ページと公表資料に基づいています(いずれも2026年10月18日閲覧)。

  • Turing「【契約社員/フルタイム勤務】自動運転開発ドライバー」 Turing 採用ページ/「【有期パートタイム社員/業務委託】自動運転開発ドライバー」 同
  • Wayve「Vehicle Safety Operator」(2026年10月5日掲載) Wayve 採用ページ/「Fleet Operations Trainer」(同) 同
  • T2「【ドライバー】オペレーションドライバー(大型トラック自動運転システム)」 T2 採用ページ/「【ドライバー】大型トラック テストドライバー」 同
  • 警察庁「自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン」(平成28年5月) npa.go.jp(PDF)
  • トヨタイムズ「機械ではなく、人にしか感知できないこと。これぞクルマ屋の真髄」(2023年3月9日) toyotatimes.jp
  • トヨタイムズ「マイナス30度の世界がクルマを鍛える?!士別試験場の全貌に迫る」(2023年3月23日) toyotatimes.jp/「トヨタイムズでも初公開!テーマは『最悪』。厳しすぎる極寒の試験で見たもの」(2023年3月30日) 同
  • トヨタイムズ「忖度なしの実験企画!24歳vsベテラン クルマを正しく評価できるのは?」(2023年12月1日) toyotatimes.jp

この記事の立場

この記事は、各社が公表している勤務条件から言えることだけをまとめたもので、特定の会社の働きやすさを評価するものではありません。条件は閲覧日時点の内容で、予告なく変わることがあります。応募前に最新の募集要項と面接で確認してください。